交通事故で迷った時・困った時は・・・

よくある質問

➀ 当て逃げされました。どうすれば良いですか?

 まず、当て逃げにあった時点で、警察に連絡です。ケガをして連絡ができない場合は、周りの人に助けを求めましょう。その上で、重症の場合は、救急車を呼ぶ、軽症の場合は、できればその日のうちに、病院やクリニック(診療所)に行ってください。判断に迷う場合は、救急車を呼びましょう。その上で、できれば、整形外科専門医の診察を受けるのが良いでしょう。

 ちなみに、受傷2週後に初めて当院を受診された方がいらっしゃいました。2週間の間、どこの医療機関にも受診していなかったようです。加害者側の保険会社は、交通事故による症状では無いと判断し、一切の治療費の支払の拒否をしました。

 従って、事故後は速やかに病院やクリニックを受診して下さい。祝日が続く場合などは、救急病院のドクター(整形外科ではなくても良い)の診察を受け、後日(3日以内)、整形外科専門医に診てもらうので大丈夫です。


➁ 事故の後の流れを教えて下さい。

 首や腰の違和感だけでも、必ず、病院かクリニック(診療所)を受診し、整形外科医の診察を受けましょう。➀にも述べましたが、受診せずに、放置しておくと、場合によっては、相手の保険を用いた治療は受けられません。健康保険を用いた治療は可能ですが、1~3割は自己負担です。

 初回にレントゲン撮影を行うことが多いですが、診断や治療のためのみならず、後々後遺障害診断書を書くことになった場合に必要不可欠です。神経症状が強い場合、レントゲンでは、診断がつきにくい場合などは、近くの病院へMRI撮影に行っていただきます。

 その後、症状に合わせて、内服や湿布などの処方をしたり、リハビリテーションを提供し、より良く治っていくお手伝いをします。

 医師は、被害者の味方ですが、被害者意識が強く、当初より、なげやりな態度や、痛みや不安のために診察や治療に協力してくれない場合は、結局のところ、被害者の方が損をすることになります。良好な関係を築くため、節度を持って、診察を受けて下さい。

 

③ 頭を打ちました。脳が心配です。

 当院は整形外科専門です。脳出血を心配されている方は、頭部CT撮影をするのが良いと考えます。当院ではCT撮影はありませんが、必要に応じて、近くの病院へCT撮影を依頼します。明らかに意識が無い、明らかに手足の麻痺症状がある場合、嘔吐している場合などは、すぐに救急病院へ受診か、救急車を呼びましょう。

 頭を打って、その後1~2日経過しても、特に症状が無い場合は、まず心配ないでしょう。ご高齢の方は、当初頭部CT上で特に問題なくても、徐々に、意識障害、めまい、認知症状など出現し、再検査で慢性硬膜下血腫が判明することがありますので、注意が必要であるとともに受傷1か月後の頭部CTの再検査が必要です。

 

④ あちこちが痛いです。どうにかなりませんか?

 健康を強く意識している方で、お薬を飲みたがらない方がいらっしゃいます。強い症状の時は、無理なく処方を受け、薬を飲みましょう。意外に楽になります。あるいは、頑固な局所の症状には、トリガーポイント注射や関節注射を行っております。それでも、症状が治まらず、常に強い痛みがある場合は、ペインクリニックへ紹介し、積極的にブロック注射等を受けていただきます。

 休養することも大事です。場合によっては、仕事を休んで、治療しましょう。仕事を休む時は、必ず、医師に相談して下さい。保険会社は、医師の指示があったか否かを確認します。無断で休んだ場合、しかるべき根拠がなければ、休業の保障は受けられません。

 

⑤ まずは、整骨院(接骨院)に行きましたが、あっていますか?

 整骨院・接骨院では、正確な診断がつかないことがあります。事故を起こしたら、まずは、整形外科専門医がいる病院やクリニックを受診し、しっかりとした診断をしてもらいましょう。診断を受けたのち、自己判断ではなく、そのドクターと話し合って、その後の治療について指示を受けましょう。

 多くの整形外科医は、整骨院・接骨院、鍼灸院等での治療、すなわち医業類似行為については、否定的であり、それらの院に行く場合は、その後のフォローは一切行いません。すなわち、後遺症が残っても、記載してくれないということです。医師は、自分の知らないところでの医業類似行為に責任を持てないのです。当然と言えば当然と思います。

 当院では、患者様の希望があった場合は、整骨院・接骨院、鍼灸院での同時加療を認めています。ただし、当院を原則、1~2週間に1度は受診していただき、当院でも診察・治療を受けていただくことが必須条件です。このルールを守っていただけない場合は、後遺症の診断書は一切書きません。もちろん、整骨院・接骨院にいる柔道整復師、鍼灸院の鍼灸師には、後遺障害の書類を書く権利はありませんので、後遺障害が残った場合、泣き寝入りとならないように、整骨院の先生にも、しっかり相談して下さい。

 

⑥ 健康保険を使って治療はできますか?

 通常は、自賠責保険です。原則、健康保険は使えません。

 

⑦ 警察用診断書を書いてもらえますか?

 整形外科疾患についての診断書は即日記載いたします。歯が折れた、目が見えにくくなった等、整形外科以外の傷病については、各専門医のいる病院・クリニックへ受診し、診断書を記載してもらってください。

 

⑧ MRIの撮影をしてもらえますか?

 当院には、MRIは置いておりませんが、500m離れたところにMRIを撮影できる病院がございます。ネット回線で院長が予約をいたしますので、ご希望時は、おっしゃってください。医学的に必要性を感じない場合は、院長からは撮影の指示は致しませんが、気になる方はいつでもご相談下さい。

 尚、たまに「事故で痛いところを全部撮影して欲しい」とおっしゃる方がいます。最新のCT撮影機器であれば、5~10分で全身を撮影可能ですが、MRIは、1部位(例えば頸椎)を20~30分かけて撮影しますので、同日中の全身の撮影は不可能です。そもそも、CTとMRI撮影では、目的が異なります。

 紹介先の病院では、MRI撮影のみですので、その病院の医師のお話はありません。従って、撮影・会計後(撮影から会計まで40~50分で終了します)、同日中に当院を受診していただければ、当院で結果説明を致します。

 

⑨ 保険会社の対応が酷いです。

 保険会社は、当初は、被害者の立場に立ち、親身になってくれることが多いです。しかしながら、親身になってくれた担当者も、治療期間が長引けば、態度が徐々に変化し、最終的には、「治療しても意味が無いでしょう」「私どもは今後お金を支払いませんので、あとはご自分で支払ってください」等、あの手この手で、治療の終了を示唆してきます。

 あるいは、「担当医が、治療は終わりと言っています」「担当医が、もう治療の意味が無いと言っています」といった、虚偽発言を平気で被害者の方に言う担当者もいます。当院では、患者様の意思を確認せぬまま、治療を終了するという事は、断じてありません。

 ちなみに、私が経験した交通事故の場合は、私が被害者であるにもかかわらず、初回から、おかしなことを言う相手保険会社の担当者であり、まったく話になりませんでした。こういう担当者に当たれば、悲惨ですね。
 
 当初より当院へかかっている方には、初診時あるいは、その次の受診時に、交通事故後の種々のアドバイスをしております。被害者としての経験がある院長であるからこそ、患者様の不利益にならないようなノウハウをお伝えすることができます。その詳細については、申し訳ありませんが、ホームページ上では割愛いたします。

 もし、保険の担当者にストレスを感じているのであれば、弁護士に迷わず依頼しましょう。弁護士の先生に相談することは敷居が高いと思いがちですが、弁護士も仕事ですから、嫌な顔をせずに、引き受けてくれます。仮に、弁護士特約をつけていなくても、多くの弁護士事務所は初回30分無料のことが多いので、ご相談されることをお勧めします。

 どこの弁護士に相談したら良いか分からない場合は、院長が相談に乗りますのでおっしゃってください。また、弁護士へ依頼すれば、必ず、院長に申し出て下さい。

 

⑩ 自動車で通勤中に、交通事故に遭いました。労災保険か自賠責保険かどちらで治療すればいいですか?

 厚生労働省は「労災保険の給付と自賠責保険の損害賠償額の支払との先後の調整については、給付事務の円滑化をはかるため、原則として自賠責保険の支払を労災保険の給付に先行させるよう取り扱うこと」との通達をしています。従って、自賠責優先です。

 しかしながら、例えば、交通事故の状況で、ご本人の過失割合が高い場合、相手が任意保険未加入だった場合、明らかに重症の骨折で手術的治療が必要となる場合(高額な医療費)などは、自賠責保険の支払上限額がありますので、上限の無い労災保険を使用する方が良いと考えます。

 尚、自賠責の保険会社は、自動車事故かつ仕事中の事故の場合は、どのような状況であれ、労災保険を使うように勧めることが多いですが、これは明らかに違法です。結局のところ、被害者がどちらを使うか決めるので問題が無いようです。

 

⑪自転車事故です。相手にケガをさせてしまいました。私が加害者かもしれません。

 いつ何時、自分が加害者になるか、誰にも予知できません。加害者となった場合のことを考えて、必ず、自転車保険に加入しておいてください。加入していれば、逃げる必要もありません。相手への謝罪を誠心誠意行い、自分の過ちを反省すれば良いのです。あとは、保険会社がすべて対応してくれます。もちろん、飲酒運転、二人乗り、歩道専用道路での事故、並走、スマホしながらの危険運転等は、免責されないことがあります。ルールを守った安全運転を心がけましょう。

 事故を起こした場合は、過失割合に関係なく、必ず、その場で、警察を呼びましょう。その場で、示談したとしても、相手があとで警察へ連絡し、「ひき逃げされた」と言われたら、なすすべがありません。また、相手が逃走してしまった場合、ご自身のケガが重症であれば、警察は犯人捜しに尽力してくれますが、軽症の場合は、捜査の優先順位が低くなり、まず、犯人は見つからないでしょう。そういう意味では、ご自身がケガした場合に備えて、ご自身のケガを保障する保険もかけておいた方が無難でしょう。

 ※自転車事故の経験談については、ブログをご覧ください。

 

⑫ 後遺障害の等級ができるだけアップするように、書いてください。

 被害者のお気持ちは分かりますが、虚偽記載は罪に問われます。従って、ありのままの所見を記載いたします。等級を判断するのは、医師ではありません。